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仕立屋と大黒屋の出会い
STORY
デコ屋敷本家大黒屋(以下、大黒屋)と、
仕立屋と職人(以下、仕立屋)は出会いました。
否、出会った時はまだ「仕立屋と職人」は存在しませんでした。
大黒屋二十一代当主橋本彰一氏との
出会いがきっかけで「仕立屋と職人」が結成されたのです。

それまでは伝統工芸の職人と接する機会もなく、
勝手なイメージで職人は「怖い」「敷居が高い」「近寄りがたい」等々..
しかし、橋本氏によってこのイメージは覆されました。
三百年の歴史を背負いながら新しいものづくりに挑戦している姿や、
お酒呑み交わしながら熱くものづくりについて語り合ったり...
勝手に想像していた職人とは違う姿を見ることができました。
そして橋本氏や大黒屋の職人のことを知れば知るほど、
張り子が愛おしく見えてくるのです。
「何故、今まで私は職人のことを知らなかったのだろう!
私みたいに知らない人が絶対に世の中にたくさんいるはず!!
この出会いを多くの人にも届けたい!!!」
と思い結成されたのが仕立屋と職人なのです。

思い出話はここら辺にして...
攻める張り子職人橋本彰一氏のこと、
伝統工芸品の張り子のこと、
大黒屋x仕立屋のコラボ商品haricoのことをご紹介いたします!!
福島県指定伝統工芸品
張り子
福島県伝統的工芸品にも指定され、
郷土玩具として親しまれていたのが張り子の人形です。
木型に和紙を何枚も貼り重ね、
乾いたら和紙を割って木型を抜き、
絵付けをする。

同じ木型に紙を張って、
次々に子が生まれるようだから
「張り子(はりこ)」と呼ばれています。
郷土玩具として親しまれてきた張り子の人形の題材は様々です。
大人ウケのいい題材が多かったようで、
錦絵を題材にしたり、歌舞伎の演目を題材にしたり…
今でいうブロマイド的な感じだったそうです。
(今の時代、ブロマイドもないか)

三百年続く張り子集落
デコ屋敷
木彫りの人形のことを木偶(デク)と言い、
それが変化していって「デコ」と言われるようになったそう。
この里でつくられているダルマは高柴ダルマといい、
最初から目が入っていて、頭が平ら、顔の彫りが深い。
男前な表情が特徴です。
髪型は、まるでリーゼント

デコ屋敷は張り子人形だけをつくっていた訳ではありません。
凧とか独楽とか玩具全般をつくっていたのです。
その中で張り子人形が人気だったため、
張り子を中心に制作るようになり、
デコ屋敷は張り子の産地として知られるようになりました。

現在は四軒の張り子の工房があります。
昔はもーっとたくさん工房があったそうなのですが、
どんどん暖簾を下ろしてしまったそう。
四軒うちの一軒が大黒屋です。

攻める張り子職人集団
デコ屋敷本家大黒屋
伊達政宗正室愛姫の生家、
三春城主田村氏の四天王の一人で、
橋本刑部という武将の一族であった橋本家の祖先が、
武士を離れてこの地に帰農し、
大黒屋の屋号で信仰、縁起物などの
土人形作りをはじめたのが起こりだとされます。
また、大黒屋は日本三大駒の一に数えられる
三春駒・子育て木馬製作にあたった御用木馬師です。
古くから木馬神社を氏神としています。

現在の当主は二十一代当主 橋本彰一氏。
多くのアーティストやデザイナーと
コラボレーション作品を制作してきた経歴を持ちます。
昔と変わらぬ技法で張り子をつくり、三百年の歴史を守りながらも、
張り子を次の時代へ続けるために挑戦をし続けています。
「張り子でつくれないものはない!」と、経験と技術を駆使し、
見た事のない張り子を生み出す、攻める張り子職人です。

大黒屋には看板職人がたくさんいます。
どこのお家も当主が家の顔で表に登場するので、
なかなか他の職人に会う機会が少ないかもしれません。
張り子に対しての熱い想い、未来、技術のこと、お客様のこと…
みんなそれぞれが強い思いを持って張り子をつくり続けているのが
ここ、大黒屋の職人たちです。
一度会ったら、虜になること間違いなし。
「置く張り子」から「身につけるharico」へ
harico

時代の変化とともにライフスタイルが変わり、
家にダルマを置く機会は減ってきています。
三百年の文化を繋ぐために大黒屋の張り子は
形を変えていかなければいけない時が来ていました。
「張り子の存在の仕方が変われば、
今後も生活の中に張り子が寄り添える。」
「置く張り子」を「身につけるharico」へ
張り子がharicoになって、
今まで出会うことのなかった人と繋がる。
これは、大黒屋と仕立屋の伝統を越える未来への挑戦なのです。
三百年の蓄積された技術を繰り出す
by デコ屋敷本家大黒屋
木型に和紙を張る技術は、大黒屋が三百年続けてきたことのひとつです。 和紙の目の方向を見て繊維の絡まり方を調節する、破れる寸前まで繊維を伸ばして張る、出来上がりを指で弾き音で判断する。
和紙を扱うプロフェッショナルたちの技がそのままharicoに駆使されているのです。
数値化した木型をデザインする
by 仕立屋と職人
黄金比、白銀比、顔の比率 。美しいと言われている数字と図形を掛け合わせて生まれた形です。 顔の大きさにこの数値を埋め込み、そこからできた図形を切り出し、顔のラインが綺麗に見える形を探し出す。
曲線、直線、大きさ、すべてが必然なのです。
分析するブレーンチーム
by 仕立屋と職人
多くの方々の反応を直接聞き、その声をharicoに反映するために、展示会への出展やユーザーインタビューを幾度となく繰り返しました。 そして、その声を分解して分析し、大黒屋の哲学と掛け合わせ、最適な届け方を組み立てたのです。
三百年の超絶な軽さ
haricoは、和紙が12枚重なってつくられています。その重さは、着けているのを忘れるくらい。
和紙は一枚ずつ職人が手作業で張っています。和紙の集合体は一見、革に見えるほど。質感や色は和紙によって少しずつ違います。
紙の硬さ
haricoは和紙を濡らせ、繊維を伸ばしながら張っています。
そうすることで、乾燥時に繊維が絡み合いながら縮み、硬くなっていきます。それはとてもしなやかで柔軟性のある丈夫さなのです。
和紙だけど耐水
haricoの表面には耐水加工を施しています。しかし、和紙の素材感を残すため、完全防水にはあえてしていません。
もし、濡れてしまったら、乾いた布ですぐに拭き取っていただければ、問題ございませんのでご安心ください。
職人の声
INTERVIEW
デコ屋敷本家大黒屋 二十一代当主 橋本彰一

デコ屋敷の先輩から教えてもらったことは「型があって、型に和紙を張って、子が出来るから張り子なんだよ」と。
この張り子の原点を守りながら、干支、だるま、三春人形など、昔ながらの張り子制作をし、さらに今までにない新しい張り子の制作にも挑戦しています。
また、張り子を海外の方にも興味を持っていただきたく、海外発信も積極的に行なっている、そんな張り子屋です。
これまでの張り子は、特別な時の置き物であったり、生活を華やかにさせるものとして生活の中で活躍していました。
その役割は変わらずに、おしゃれなharicoとして張り子のイメージ転換ができると多くの方に知ってもらえたら、 張り子職人としての誇りを感じられるかもしれない。
そして、張り子仕事をやってみたいなって思う人が増えてくるかもしれない。
haricoにそんな希望を抱いています。
デコ屋敷本家大黒屋 職人 佐久間みき

毎日、伝統工芸品を見ていても、「これは大事な日本の守るべき文化財だ」と意識はしないなと感じています。
「伝統」ってつけてしまうと遠いものに感じてしまって、むしろそれがハードルになってなっているのではないかと。
大事なものが当たり前のものになって、それを生活の中に落とし込めたら、それでも伝統を守っているということになると思います。
haricoは軽くて耳にも負担にならないし、若い人だけじゃなく、私の母世代が使ってもいいなと思っています。
シンプルで、軽い、イヤリングとピアスを選べる。
「おしゃれは必要ないわ」という人にも一回つけてみてもらえば変わるはずです。